弥高山の家
 
シンプルコンクリート打放し住宅
 
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コンクリート打放しの住宅
 

コンクリート打放しの住宅

 
コンクリート打放しの住宅
 
コンクリート打放しの住宅
 
 

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コンクリート打放しの住宅
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photo by Kaori Ichikawa(except *=by K.Fujimoto)

「弥高山の家」

 山の山頂に位置する彫刻家の住宅である。山での生活は、豊かな自然に恵まれている反面、時には厳しい自然の一面にも対峙しなければならない。この敷地での住宅のあり方を考えたとき、相矛盾する要素を同時にかなえること、つまり充分に自然に開かれながらも、同時に安心感を得られるような建築を目標とした。さらに、単身者住居であるためワンルーム形式としているが、眺望を得るだけでなく、現実的な生活動作に対応できるように空間性に変化をもたせ、より生活に即した建築とすることに重きを置いた。

建築は、外周をガラスで開放しながらも、内外部に設けた腰壁と大きく張出した庇で日射を遮り、開口部の引き戸を通じて風が吹き渡る。木陰の下で爽やかな風がそよぐ半戸外のような室内環境を目指した。大きな開口によって、建物内外部に流動性が生じ、視覚的にも身体的にも周囲の豊かな自然と一体となった居住空間としている。
スペック重視で重装備とするのではなく、住人の生活力で補える程度の「自然な」快適さを尊重した。

腰壁の高さと床面の高さの違いにより、ワンルーム内の開放度に変化を生じさせている。4段のレベル差をもつ各々のスペースの腰壁高さは下から、1800、900、1950、1450mmであり、天井及びランマ高さの違いが加わることで、身体的に感じる開放度に大きな違いがある。内部建具によって明確に部屋を個室化することもできる。住人は、季節や時間、気分や行為に応じて、開放度と床仕上げの違いをもつ4つのスペースを使い分けるであろう。ここでは、食堂、居間、寝室、和室という固定された機能に応じて部屋を想定するのではなく、寝方(ベッド、ふとん)座り方(あぐら、ごろ寝、ソファ)過ごし方(ぼーっとする、集中する)といった、くつろぎ方が求める空間の質を複数用意している。

コンクリートを主としたミニマムな表現のなかで、コンクリートが持つ重量感、ソリッドでムクの素材感を活かしながら、開放的で透明感を持つ空間を目指した。
コンクリートは、自然の厳しさに対抗できる強い素材だと考えるが、その扱いを工夫し、閉鎖的にもらなず現実生活からも遊離しない空間の出現を期待した。静かな山田舎の住まいである。

(藤本寿徳)

 
 

 

 

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