2024年 3月9日
雪山登山が好きで鳥取県の伯耆大山によく登ります
大山の6合目、標高1350mに6合目避難小屋があります
避難小屋とは、全国の山岳地帯に設置された一般に開放された山小屋の一つで
天候の急変や登山者の体調不良などの非常時に避難・休憩・宿泊するための山小屋です
無人で、電気や水道はありません
この大山6合目避難小屋は面積がたったの 8.6平方メートル(2m x 4m程度)
簡素な作りの木造平家で、中には3畳程のスペースがあるだけです
この避難小屋が大好きです
緊急時には、僕の命を助けてくれる力強い建築です
小さいけれど大きな存在、どれだけ心強いか
厳冬期の人間の世界から離れた山の中で一軒ひっそりと、いざという時のために
風雪を耐え忍ぶ姿に感動します
積雪量が増えるに従って、最後は雪に完全に埋没し
小屋に入るためには、スコップで穴を掘って入ることになります
積雪量や天候によって、さまざまな凛々しい立ち姿を見せてくれます
建築の原点を常に思い返させてくれる建築です
避難小屋を設計する機会をいただけたらどんなに嬉しいか
ここ数年の山行で撮影した写真をシェアします
ロフトもあるので雪が無い時は背が高い建物にみえます
基壇の階段が隠れた頃 積雪量は2m弱
1階の窓も埋まり、入口が雪より下になり始めた頃
降雪後の早朝、まだ登山者の足跡がない時
このぐらいの大きさの時が愛らしい
ロフトの窓もかなり埋まってきました
入口が埋まる時はロフトから出入りできるように設けられたものなのですが
完全に埋没しました、スコップで雪を掘って小屋に入ります
雪で無音の世界の深夜、宿泊者が灯すランタンの灯りが揺れています
窓からの景色、座ってずっと見ていられます
天候が厳しい時はこんな感じです
もっと酷い時は写真を撮る余裕がありませんし
吹雪の中では何も写りません、1m先でさえ見えなくなります
雪山登山は危険だと皆に言われます、確かにそう思います
ただ、危険だからこそ魅かれるのです
最後に建築家で登山家でもあった吉阪隆正先生の言葉を紹介します
「山の無言の教えがまた私の良心を育てる。
美的感覚を、詩情を養うと共に、
そこでの困難をのり切るための正確な技術を習得していった。
するとますます山に戻ることが、私の良心をたてなおす機会になっていく」
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09:24, Saturday, Mar 09, 2024 ¦ 固定リンク
「かっちり」の類語や語彙をあらためて調べてみると
ぴたっときちんと正しく正確に、堅く引き締まったさまを指すとのこと
奇を衒わずに「かっちり」つくる
設計の過程で出てくる数多の条件や問題点を正しく整理し
当たり前のことをしているだけなのに、当たり前に見えない
そういう設計方法があるのだと思います
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08:22, Saturday, Mar 09, 2024 ¦ 固定リンク
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