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藤本寿徳

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五右衛門風呂
*なぜ皆オープンカーに乗らないのだろう?
 と今までオープンカーしか所有したことのない僕は思う。
  屋根を開けて 自然の中をドライブすると なんと楽しいことか!

 オープンカーに乗らない人は、この気持ち良さを単に体験したことがないだけなのだろうか?
 それとも、そもそも屋根を開けても気持ちいいと感じないのだろうか?
 僕には
 この気持ち良さを考えると、多少の不便さなど、些細な問題である。

 車には屋根があるという常識を、ちょっと違えるだけで 
 世界は楽しくなるといったら大げさか。

*事務所では、今まで「外の気持ち良さ」をいかに、「室内の気持ち良さ」に引き込めるか
 有り体の言葉でいえば、「外部と内部が一体となった気持ち良さ」を追求してきた。

 事務所はマンションの一室である。
 いつも外を見て思う、高い階の気持ち良さは、眺めがいいということよりも
 遠くまで広がる空間の中に身を置く事が、部屋の大きさがもつ限界を簡単にこえて
 広いことは気持ちがいいという単純な事実を味わえる
 ということにある。

 一年に数日 四国の山並みまではっきり見える日がある。
 春や秋は 24時間バルコニーの窓は全開放しているので、窓ガラスの存在はないに等しい
 ふと考える、24時間数日に渡って窓を全開放している部屋にとって、室内外の境界はどこか?

 そうすると、思うのである。
 事務所の広さは 瀬戸内海をこえるほど広い、
 僕は、バルコニーより先は部屋の中で床がない部分として認識している。


*また、普通室内で行う行為を 外で行うだけで、気持ち良さが変わることも
 大きな感心事である。

 幸いバルコニーがちょっと広めなので、外で食事をするのは序の口で、
 バルコニーにベッドを組み立て、外で寝る事もしばしば経験してきた、
 いい住宅を設計するための人体実験の一つである。

 体験したことのない人は、夏は良くても、冬は無理だと思うだろう。
 しかし 事実は逆である、夏は朝4時には朝日が眩しすぎて寝ていられない。
 寒い冬でも、羽毛布団に入りこめば朝まで熟睡できる程度に暖かい、

 野山でキャンプの際テントをはったとしても、虫がでたり、
 朝方には地面からの湿気や朝つゆに濡れたり
 悩まされるものだが、そういうこともない。

*オープンカーもしかりである、空の青色がまぶしい夏に「気持ち良さそうですね」と
 声を掛けていただくことが、しばしばあるが
 実際は、帽子をかぶってなければ一発で熱射病になる。
 冬はその逆で暖房が効くので快適である。
 近くのコンビニまで歩いて買物に行く方が、寒さが身にしみる。

 こういう話もある、

 高速道路を屋根を開けて走っていたら、土砂降りのにわか雨に遭遇することがある。
 実は90キロのスピードで走っていたら、車内も人も濡れない。
 雨は全部 後ろに流されるのである。
 前後の運転手は お気の毒にと思うだろうが
 追い抜きざまに、僕がニコニコして運転しているのを見ると、理屈がすぐに判り目を点にする。

 このように
 体験したらイメージと大きく違うことは、往々にしてあるのかもしれない。
 

*前振りが長くなったが、事務所に五右衛門風呂を置いて半年がたつ。
  
 日本人は温泉好き、風呂好きが多いが、なんで 家では内風呂にしか入らないのだろう
 露天風呂はこんなに気持ちいいのにである。

 露天風呂はなんで気持ちがいいのだろう? 
 実に不思議である。理由は判らないが
 実行してみると 単純に気持ちがいい。

 実に単純、シンプルな事実である。

*お風呂は 広島の大和重工さんという会社の製品である。
 鋳物を得意とする広島県の企業である、設計の際でも、シンプルでモダンな
 大和重工さんの浴槽を選ぶことが多い。
 海外製の鋳物ホーロー浴槽に比べ 鉄が厚いのが品質に信頼がおける

 ちなみに、国内で現在、五右衛門風呂を制作しているのは、大和重工さんだけだそうだ。
 地元の企業は応援したくなるものです。
 http://www.daiwajuko.co.jp
 大和重工さんのホームページもご覧ください

*その大和重工さんから、持ち運びができる五右衛門風呂が販売されているので購入した。
 ネーミングもいけている「湯牧民」という名前で、キャンプにも持ち運びができるというのが売りだ。

 さすがに薪で湯を沸かすことはできないので、室内からホースを伸ばしてお湯をはっている。

*事務所に五右衛門風呂を導入した話をすると、反響の大きさが嬉しい
 多くのご要望を受け写真を掲載させていただく

Untitled
  
19:12, Friday, Jul 11, 2014 ¦ 固定リンク

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