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藤本寿徳

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石(1)
昔からの建築と石のつきあいというのは日本では、棚田や宅地の擁壁の間知石や石垣など、多くは建物の足下回りに使われてきたと思う。他には、石積み壁(組積造)の倉、床仕上、屋根に使うスレートといったところだろうか。

建築で石を使いたいと思った時、現在では中国産の石しか使えない状況にある。
悲しい状況だが、人件費のことを考えると国産では高くつき、中国産に押され結局は国内の石も生産も止めてしまっているところが多い、

墓石に使うようなものだと高く売れるのでいいのだが、黒御影が人気で、白御影は需要が少なくなっているようだ。品質的にも安定して多くが密に取れなければいけないし、そういう観点からも中国に利がある。

今手がけている、田尻の家がある田尻漁港の防波堤や雁木は石が積まれていて、風景の中にあって美しい。人の手で石を切り合わせ、積んでいく苦労の後があるから美しく感じるのだろうか、自然の素材なので自然の景観とマッチするのだろうか、コンクリート護岸などではどうも味気がなく、時間が経っても美しくならないだろうと思う。

昔から、石を使う場合、地元近くで取れる石を使ってきたわけだが、それを今行いたくても、値段の問題が常に障害となって、コンクリート製品の間知石ブロックやコンクリートにとってかわっている。

僕はこれをとても大きな問題だと思っている。知らず知らずにどんどん風景が殺風景になっていく状況が加速している。

「お金が高いからしょうがなかろう」は判るのだけど、風景は殺風景になっていくばかり、残念である。


11:19, Tuesday, Feb 23, 2010 ¦ 固定リンク

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