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福山近郊にはフランク・ロイド・ライト的造形の建物が数件あることが気になってました。
写真は福山から鞆の浦に通じるグリーンラインにある建物で、かつては県の教職員組合の「鞆の浦山荘」という保養研修施設です。
キャンティレバーでボリュームを張り出す構成がライト風であり、美しいと感心していました。この立体構成はライトやデ・スティルを意識させます。
この建物の他にも、笠岡の神島にはライトの代表作「落水荘」を模した大きな住宅もあります。こちらはあきらかにライトを意識したデザインの住宅です。 また、笠岡にある自動車教習所もボリュームの構成がデ・スティル調の建物です。レンガタイルが張られ落ち着いた感じです。
写真の「鞆の浦山荘」は僕の住宅の施工も手がけてもらったこともある、福山の富士建設の施工だと聞いたことがあります。
今はとても残念なことに廃墟状態なのですが、施工時に一生懸命取り組んだオーラを建築の細部や空間から感じます。
いたずら、落書きでボコボコなのですが、簡単に壊されるガラスや造作壁は壊されても、コンクリート躯体はしっかりしています。この程度のいたずらでは建築はびくともしません。サッシを取り替えガラスを入れ、仕上を剥がして再仕上を施し、設備を一新すれば充分使用できます。
写真は一部爆裂を起こしている箇所なのですが、アプローチの外部階段スラブ下で簡単に補修もできる程度です。この箇所以外に爆裂はあまりありません。
地元の噂話では、この建物を気味悪がる人がいるのを知っていますが、建築のプロの目から見ると、構造躯体の状態はとても健全な建物です。立地もいいので、お金をかけてリニューアルをすれば蘇ると長年思っていました。
最近、この建物にあったゴミが処分され、雑草が生い茂っていた庭も整地され、なにか再利用の動きがあるように見えます。どうなるのか全く知らないのですが、リニューアルされ建物が生き返ることを期待しています。
この建物の設計者は判らないのですが、廃墟になっても設計時の良心が伝わってくる秀作です。
この建物を廃墟然として撮影するのでなく廃墟になろうとも存在する空間の美しさを撮影したつもりです。
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11:38, Tuesday, Jan 05, 2010 ¦ 固定リンク
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