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藤本寿徳

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冷暖房の話-2
沖縄での話です。
「辺名地の家」の依頼を受ける半年前の7月、沖縄の本部町に一週間滞在しました。その時は沖縄で設計依頼を受ける話はまだ無く、日頃お世話になっている方に誘われての沖縄旅行でした。沖縄では、その方のお母さんで90歳を過ぎても一人暮らしをしているおばあちゃんの家に宿泊させていただきました。

初日と最終日は那覇や南部の戦争史跡などを案内してくれましたが、それ以外は全くすることは無し。自分用のレンタカーも用意していなかったので、近くの農村風景の中を散歩するばかりで、ただ何もすることなく気を遣いながらの生活。気丈なおばあちゃんに、戦争時の苦労話をたくさん伺ったり、おばあちゃん作の野菜が食卓に並んだり、いいこともたくさんありましたが、最初は退屈で退屈で仕方がありませんでした。しかし、その分この地域の生活をじっくりと観察することができました。自然とおばあちゃんの生活のペースに従ったゆっくりとした生活をしていることとなり、スローライフを共にできた事は今では貴重な体験です。旅先で何もしない贅沢をそれまで知りませんでした。

七夕頃の沖縄は暑い時期なのですが、その家ではクーラーはあるのですが皆クーラーを使いませんでした。クーラーを使わず扇風機を使っていることが最初不思議に感じたのですが、実際は扇風機で充分でした、沖縄の気温は思ってる程が上がりません。沖縄の最高気温は32度と相場が決まっています。天気予報を見なくても晴れたら毎日、夏の間は必ず32度です。
理由は、沖縄の陸地が狭いため、海風によって地上の熱が吹き払われるからです。沖縄ではタクシーの運転手に広島から来たと答えると、「広島は暑いでしょう」とお決まりのように言われます。それが言いたくて、「どこから来たのか」と質問をする意図が見えてしまうのですが…

日陰にいて、風通しさえあれば充分過せます。夜も網戸で寝るので地域によっては不用心なのかもしれませんが。虫の鳴き声を聴きながら少し寝汗をかくのも気持がいいものです。昔の生活を思い描きながら、親世代の子供時分と同じことをしているのかと考えると幸せを感じます。僕は蚊帳の経験はないのですが、蚊帳で子供を寝かしても喜ぶだろうななどと想像します。ヤモリが入ってきたら楽しさ満点です、盛り上がること請け合いです。

ただし湿気が多いので床を上げる等の対策が必要です。さらに日差しはとても強く、32度というのは気温であって(日陰で測定される温度)直射日光の強さは本土と比べようもありません、要注意です。
そのお世話になっている方は面白い人なのですが、60歳を超えても体力の固まり、寅さんみたいな方でいつもマイペース。ある日、名護市内を車で移動中、二人とも暑さにバテバテでした。
「かき氷でも食べますか〜」と誘われ、内心、小学校以来そんな子供だましのもの食べて無いななどと考えながら、全く気乗りしなかったのですが、さして断る理由も無かったので、何も期待せずお供しました。

結局は、僕が浅はかだったのですが、食べ終えると、頭の後ろがキ〜ンと痛くなりますが、体が一気に冷え、すぐに体力が回復してきました。氷で体を冷ますそのストレートさはかなりの荒技ですが、効果の程は驚きでした。すごく小さな事ですが生活の知恵に感心しました。夏の沖縄で暑さに参っている時に、騙されたと思ってかき氷にトライしてみてください。感動します。
14:52, Wednesday, Jan 30, 2008 ¦ 固定リンク

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