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1 閉じること/開くこと
オランダの都市部の低層住宅街では、居間の中が通りから見えるようにカーテンを日中開けておくという。自らが襟を開くことで地域との信頼関係を築くためと聞いたことがあるが、そういう事とは違うし、昔の農家の縁側にはカーテンもブラインドもなく座敷間が見える事とも違う。沖縄の古い家では今でも仏間と床の間を見せる習慣が多く残っている。安定した地域社会で可能なことだが、プライバシーの考え方はずいぶんと異なる。三原の家は市中心部にあり、そこまでオープンな地域ではない。
三原の家-----道路側から建物を見ると窓を通して、建物反対の景色が見える。この建物の特徴である。外部からは人間の姿は見えないように窓は高い位置に設けている。ブラインドは主として半開の状態での使用を想定している。充分プライバシーは守られている。
全く窓のないコンクリートの箱は閉鎖的で、外観は土木構築物にも見える。そこに注意深く開口をつくる。身体が求める空間の質とは何か、閉鎖的空間と開放的空間のバランスを考えていく。周辺環境との関係から開口のつくり方を決定していく。反対側の景色まで見通せる建物いっぱいの幅を持つ最長の連窓をつくり、たっぷりと空の広がりを享受した。
コンクリート壁とガラス窓のみにまで還元されたシンプルな外観である。敷地周囲との関係から、そのシンプルな箱のつくり方を決定していくことで、その場でこそ輝きを持つ住宅へと昇華する。 単純な外観の中に、形のない要素(体験して感じること)がたくさん詰まった住宅を理想としている。形が無いが故に写真には写らないが、形のない要素に建築の本質が宿る。
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18:20, Thursday, Jan 17, 2008 ¦ 固定リンク
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