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「建築基準法を守るとマグニチュードいくつぐらいの地震に耐えられるのか」など、 建築構造技術者協会が地震と建築構造についてホームページで解説しています。 参考になると思いますので、リンクで紹介させていただきます。
日本建築構造技術者協会:知っていますか(構造用語) (http://www.jsca.or.jp/vol2/15tec_terms/backnumber_tec_terms.html)
上記リンクに、ガルという地震加速度の単位について解説がされています。(1gal=1cm/sec2)ですから馴染みのある加速度の単位と数値は同じになります。地球の引力(=重力加速度)は980gal=9.8m/sec2です。
関東大震災では330ガルだったと言われていて、1995年の兵庫県南部地震で計測された最大加速度は818ガルで重力加速度よりやや低い値でしたが、2007年の新潟県中越沖地震では993ガルでした。 地震によって建物に作用する力は、質量x加速度(F=ma)ですから、地震の加速度は建物に与える被害を考える際の重要な要素です。
話は変わります。 この新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が被害を受けましたが、東京電力から発電所に設置された地震計の記録が発表されていて
3号機では タービン建屋1階(+5.3m)で2058ガル 同、地下3階(-16.3m)で581ガル 原子炉建屋基礎(-32.5m)で384ガル を計測したそうです。
他6機全ての原子炉についても発表されていますが、3号機タービン建屋1階の2058ガルという数値に、最初に新聞報道で知った時耳を疑いました。
7月30日 東京電力発表 柏崎刈羽原子力発電所における平成19年新潟県中越沖地震時に取得された地震観測データの分析に係る報告(第一報)について(http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu07_j/images/070730d.pdf)
一つ一つの原子炉は、原子炉棟とタービン棟という2つの建物で構成されていて 原子炉棟は地下5階分(地中32m)、タービン棟は地下3階分(地中16.5m)地中に埋もれているから建物は、高層建築物とは逆に揺れに強いはずです。 では、なぜ3号機タービン建屋1階で2058ガルを測定したのか?それはタービンを設置する架台上での数値で、基礎からみて建物のかなり上部に当たり、揺れがより増幅されたらしいのです。建物の床上や地表での加速度の数値は最大でも1000ガルに届きません。
2058ガル=2Gです。静止している物体に2058ガルの加速度を与え続けると、1秒後には時速74km,2秒後には時速148km,3秒後に時速222kmの速度になります。ただし、地震の最大加速度は瞬間の値で揺れの方向は実際には刻々と変わるため、重力のように同じ方向に引かれ続けるわけではないのですが、地震で計測された加速度ととしては、世界最大値らしいです。
地震によって起きる加速度は、どんな大きな地震でも最大で1000ガル程度と理解していたので、その2倍以上の加速度が計測されたことに驚きました。この数値は、設計で想定していた数値の2.5倍らしいのですが、想定できなかった事に多少の同情もします。(海外では当たり前だとしたら別だが、日本のような地震国で有効なデータや基準は無いのかもしれない。架台下に免震装置の設置はできなかったかの疑問は残る。)
この教訓によって、さらなる原発の安全が高められる必要がありますが、建築基準法も過去の地震を教訓に発展せざるをえない事が、最初のリンクでも説明されています。建築基準法では何ガルで壊れないように建物を設計しなければいけないという記述はありません。最近では地震動の最大加速度(ガル)の大きさよりも最大速度(カイン)の大きさの方が建物の被害状況とよく一致することも判ってきているらしいです。現状では地震そのものと地震と建物被害の関係には不明なことが多いのです。 |
20:14, Monday, Jan 14, 2008 ¦ 固定リンク
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