安芸津の家 |
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photo by Kazunori Fujimoto |
「安芸津の家」 敷地は瀬戸内海に突き出た高台にあり、周囲には風光明媚な景色が広がっている。依頼主は同じ町の市街地に住んでいたが、自分が生まれ育った風土とより直接的な関係がもてる日常生活を望み、敷地探しから共に行い,郊外の畑を購入した。 この美しい風景の広がりの中での住居を考えた時、周辺環境と内部空間、すべての部屋同士がゆるやかに連続しているおおらかな居住空間が望ましいと思った。さらに、周囲と同質の空気感で満たされた室内に、コンクリート打放し特有の静謐な空気感を与えることで、居住空間が周囲から適度に自立して魅力がさらに増すと考えた。 シンプルな計画である。 断面はおおらかさと相互の連続性が生まれるに計画した。居間の天井を高くとり大きな気積を与え、ひと続きの居間とダイニングキッチンは、床、天井のレベル差で違いをもたせた。スキップフロアの短い階段によって1・2階すべての部屋を緩やかに繋げている。断面的な余白は、床下は収納として、屋根はテラスとして利用している。建物全体を若干埋めたことで、2階の居間にいても周囲の地面との距離を近くに感じることもできるし、エントランス階段の段差が1.5mと低いので外部との間にほどよい距離を感じることもできる。 螺旋階段によって内部の連続性がさらに増している。また、この階段は幾何学的に純粋な形態を目指し、螺旋階段の中央と外周の端部でスラブ厚が見えない階段としている。発砲スチロール型枠で作ったこの階段は、コンクリートの可塑性と数学的純粋性によって、単なる物質をこえて彫刻のように建築に緊張感を与えている。 |
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